イナゾーファームにとって、トマトは思い入れの特に強い作物のひとつです。「美味しい醤油のような、強いアミノ酸を感じるトマト」を目標に、ハウス栽培による生産の安定化はもちろん、土壌の成分数値の可視化、収穫期間中の水分管理による味わいの変遷など、定性データと定量データの使い分けをしながら、より豊かな味わいと栄養素の実現と、様々なノウハウ化に挑戦し続けています。
ブランドの道を見つける
ブランド化というものを誰もが簡単に口にするのは、そこに至る道のりに学ぶことが多いからだと思います。しかし、本当の意味でのブランド化はものすごく困難で長い道のりです。そして、主体事業者である我々にとってはなにより大事なのは品質、そしてお客様からの評価です。愚直なまでにここと向き合い、品質を高めることこそがブランドのコアだと考えています。トマトは、そうしたひとつひとつのプロセスを私たちに教えてくれた存在です。
生産者として
トマトジュースをはじめ、加工品にも着手していますが葛藤の日々です。というのも、私たちは加工のプロではなく、社会にはより多くのプロフェッショナルが大挙しています。そこの道を極めていくには、あまりに手が足りないというのが現状。そこで、素材を生かすタイプのもの以外の製品を我々が手がけることはほとんど考えていません。それでも、加工品を手がけたことで多くのことを考えることができるようになりました。お客様の声やバイヤー様の声との接し方も確実にレベルアップしたと思います。
私たちは生産者である。
トマトがイナゾーファームにもたらしてくれたものは本当に大きなものですが、同時に、私たちが生産者であるのだという本分に立ち返るための重要な警鐘も鳴らしてくれます。加工で味をより良くする技術もない私たちは、本当に優れた素材生産に一生懸命にならなければ、結局加工品にしても味がよくはならないのです。しっかり土と向き合い、トマトに向き合い、常に味と品質、お客様のことを考えながら前に進むこと。これがトマトが与えてくれる気づきなのです。