農業経営というものは、難しいとか厳しいとかよく言われます。しかし、私たちはそのどれもが当てはまらないと思っています。そもそも「経営」とはなにかがわからければ、農業経営という言葉の意味も価値もわかりません。農業は、人間社会における最もプリミティブな産業の一つです。しかし、実はこの経営ノウハウというものがほとんど蓄積されていません。ここが、農業の脆弱性にも繋がってきます。
年1回の稼ぎどき
農業において農作物は何回も収穫できるわけではありません、たとえば米なら8ヶ月準備して1回です。そのあと、はじめて納品ができて請求書が出せます。トマトがありがたいのは、収穫期間が長いことです。その間、わたしたちはたくさん納品ができます。米だけの場合、8ヶ月間の間に災害や天候不順が起こったりすればすべてがダメになります。準備期間がすべて無駄になってします。品種改良での努力はあるにせよ、これでは「経営」とは言えないのかもしれません。
トマトの魅力と繁忙
一方でトマトの主要他産地では10月~6月の9ヶ月もの長期間に渡り収穫できる地域も多いです。この主要産地の端境期である7月~9月の出番が北海道や高原寒冷地です。しかしあくまで主要他産地の端境期である3ヶ月、つまり、主要他産地の1/3の期間しか稼げないのことを意味しています。その短い期間には他作物との作業も並行することになります。厳しい条件下で収穫期はとにかく目まぐるしい忙しさになるのです。
伸びしろ
たとえば、メーカーであればいくつかの商材を季節性でわけたりすることで、収入の入り口を増やします。受託企業であれば技術を磨きあげることで発注が増えます。しかし農業は、大地から実るものを待つのも仕事ですから、数はおのずと決定してきます。そこに、資材、肥料、人件費、燃料費などが乗ってくるわけです。さて、こうした状況にこそ、農業経営をアップデートするヒントがあります。
アップデート
まず、収益ポイントはいかに増やすかは農業経営の重要な課題です。同時に、そのための最強の技術者がイコール経営者であるということも課題です。従業員を雇用したとしても、農業の場合は育成のタイミングや教えていく内容がさまざまです。一般的な募集をして、ノウハウを教えていくのもなかなか難しい上に時間がかかる。。こうした複合的な課題をしっかり洗い出すことは、そのまま伸びしろの把握になるということでもあります。課題が多い農業経営を伸ばす最適な方法は、まずその課題と向き合うことです。我々の伸びしろは、ずいぶんとあるわけです。